名目と実質 2012 5 26
これは、以前、何度も書きましたが、
経済を知る上で、
名目と実質の違いを知っておくことは重要です。
「日本は、金利が高い」
これに対して、驚く人が多いでしょう。
「とんでもない。預金金利はゼロに近い」と。
しかし、たとえ預金金利が5%でも、
インフレ率が7%もあったとしたら、
それは、マイナス金利と言った方がよいでしょう。
表面的な金利(名目)よりも、実質的な金利を考えるべきでしょう。
逆に、たとえ預金金利が0.01%でも、
インフレ率がマイナス、たとえば-2%もあったとしたら、
実質金利は、十分にあると言えるでしょう。
そういうわけで、デフレ下においては、
無理に資産運用をする必要はありません。
デフレ下においては、
名目上の金利は、ゼロに近くなるでしょうが、
実質金利は、十分に満足できるものになります。
デフレの時代には、現金は王様となります。
「デフレによる被害者は、誰か」
デフレが続く状況では、
給料が増えないどころか、
給料が削減されるという悩みがあると思います。
しかし、給料の下落率よりも、
物価の下落率の方が大きかったとすると、
名目上の給料は減っても、
「実質給料」は増えたことになります。
もう、国民の多くは、そのことに気づいていて、
心の中では、物価に対するデフレ期待が広がっていると思います。
しかし、さすがに税収には、「実質」という考え方はありません。
税収は、「名目」のみです。
税金とは、「名目」に税率をかけるものだからです。
つまり、税収とは、基本的に、
企業の「名目利益」や個人の「名目所得」など
「名目」に税率を掛けて計算されるものだからです。
理屈の上では、「実質税収」という考え方も可能かもしれませんが、
そういうものを計算しても、むなしいだけです。